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活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2011/06/23

「現場を動かしている」という自負―協働パートナー紹介

昨日の活動報告から引き続き、宮城県石巻市を中心に支援活動を展開する国際NGO「ピースボート(東京都新宿区)」とのパートナー協働事業についてお伝えいたします。

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「人数でしか解決できない問題がある」。

東日本大震災の津波被害は広範囲に渡りました。石巻市では約28,000の家屋が全壊。半壊家屋の数はいまだに調査中です。津波まもなく、自衛隊は避難指定所や半壊した自宅に取り残された人々を助けるために道を確保し、公共の場所をきれいにしてくれました。しかし、自衛隊では私有地である個人宅の泥撤去までは対応できませんでした。

自宅敷地内にはどこからか流れ着いたガレキや泥が堆積していました。家の中は洗濯機でかき回わされたように、家具が散乱し、泥や海水でめちゃくちゃ。水産加工会社近くのお宅では、大量のイカやサンマが腐敗し悪臭を放っていました。暑くなる前に泥やがれきを撤去しなければならない。大量のボランティアが必要でした。

ピースボートは「みんなが主役で船を出す」を合い言葉に、アジアなど地球の各地を訪れる国際交流の船旅をコーディネートしている団体です。ボランティアスタッフがクルーズ参加者を募るための宣伝活動や事務作業から、船内企画の立案・準備まで幅広い活動を展開しており、ボランティアの集め方やボランティア組織の運営についてノウハウを持っていました。加えて、阪神淡路大震災をはじめとし、これまでにも大規模震災が起こった際にはボランティア団を組成し、支援にあたった経験もあります。

今回も、支援物資の毛布を片手に山本さんが先発隊として被災地入りを調整した結果、受け入れてくれたのが石巻でした。3月中旬、外部からの支援の手はほぼ入っていなかったため、ピースボートは石巻を活動拠点にすることを決めました。そこからは、関東を中心に募ったボランティアを大規模に被災地に投入。人手を確保することで、地元から信頼を得ることができました。

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(泥やがれきの撤去作業の進み具合を把握する地図を後ろに、現状を説明する山本さん)

災害対策本部では週に一度、市役所と自衛隊、そして復興支援協議会メンバーの代表としてピースボートが参加する3者会議を行います。がれき撤去では市役所を仲介して、自衛隊がピースボートに地図を託し、それぞれで役割分担してきました。「ガレキ撤去など力作業では機動力のある自衛隊にはかなわない。だけど、被災者から直接どんな支援が必要か、どんな物資が求められているかのヒアリングは、ほとんどがNPOやNGOがやっている。自衛隊ができないことを積極的にカバーしていきたい」と山本さんは語ります。

ピースボートでは泥撤去以外に、炊き出しに力を入れています。6月上旬の段階では、10人の調理スタッフで1000人分の昼食の炊き出しをカバーしていました。市役所が調達購入した食材で作ったあったかいご飯と生活物資を避難所や自宅避難者の集会所などで配布しています。5月末までは、石巻専修大の倉庫横のテントを拠点に炊き出し準備をしてきましたが、梅雨の時期になり、衛生面に配慮して冷蔵庫のある居酒屋店舗を借りました。ちょうど6月に入って、いくつかの団体が活動をやめたことで、石巻全体で提供できる炊き出しの絶対数は減っています。避難所から仮設住宅に移ることができても、買い物ができる場所が少ないことなどで炊き出しのニーズは長期化する見込みもあります。その状況を受けてピースボートでは今後、2000人分の炊き出しを行いたいと考えます。

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(6月から炊き出しなどの拠点にしている居酒屋店舗。調理スタッフには地元の方も参加)

ボランティアだから、という甘えや不安定さを排除し、どこまでもやりきると決め込んで取り組む。その姿を見てくれた結果、今があると振り返ります。山本さんは「自衛隊と行政、そしてNGO。第三セクターになっている自負はある」と語ります。

次回は、どのようにして多数のボランティアを動員しているのかをご紹介します。