災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

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2011/08/03

地域の未来を左右する高台移転

  気仙沼市や南三陸町など起伏の激しい地域では、海に近い低地にあった市街地や工業地区、住宅地が甚大な津波被害を受けました。現在は、安全性の確保を優先するため、被害のあった地区のほとんどで建築制限がかけられており、工場や住宅の立て直しが制限、禁止されています。今後の地域復興に関して、住宅地については「高台移転をしよう」という気運が高まっています。

南三陸町では、7月25日から31日かけて、登米市など避難者のいる近隣都市を含む23会場で復興町民会議の地域懇談会を開きました。25日に南三陸町の仮設役場で行われた懇談会を傍聴したところ、40人程度の参加がありました。1グループ10人程度に分かれて、阪神・淡路大震災をきっかけに設立された、人と防災未来センター(神戸市)の職員などがリーダーとなり、住民の意見を引き出しました。住民も少人数での議論だったためか、活発に意見を述べていました。

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(町民の意見をポストイットに書き込んで、分類。意見が形に残るので、町民みんなが議論に参加していた)

南三陸町では新たなまちづくりの原点として、職住分離を基本とした集落の高台移転を検討しています。ただ、集落ごとに別々に移転すべきか、いくつかの集落を集約して移転すべきか、など具体的な移転案は模索中です。住民の意見がさまざまであることに加えて、高台移転にかかる費用負担などの算定が難しいことも一因です。

政府の復興構想会議で提言されていた「高台移転」事業は、7月29日に政府が決定した復興基本方針には明記されませんでした。その後、南三陸町は政府から、高台移転は「防災集団移転促進事業」に組み込まれる、との説明を受けましたが、国からの財源支援などの裏付けがない不明確な状況がしばらく続く見通しです。

その一方で、高台への集団移転を希望する集落は増えつつあります。気仙沼市では本吉町のほかに、唐桑町内でも複数の地区が手を挙げています。現行の「防災集団移転促進事業」では、自治体の財政負担が大きく、実施は難しいとされています。手を挙げる集落が増えていることを受けて、市では補助率の引き上げなどを国に要望しています。

防災集団移転促進事業の枠組みを使ってどのようなまちづくりができるのか。どのような地域にしていきたいのか。Civic Forceでは、新しいまちづくりのモデルケースとなるよう、気仙沼市唐桑町舞根地区の一部について地元NPOを協働パートナーとし、議論を重ねています。

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(南三陸町 復興町民会議の地域懇談会のようす)