2011/08/05
7月30日から8月2日にかけて、岩手県一関市の「ひこばえの森」にて、NPO法人森は海の恋人(気仙沼市唐桑町)が主催する「こどもサマースクール」が開かれました。サマースクールは、NPO法人森は海の恋人が2010年から行っている活動で、自然の中での体験を通じて環境保護についての理解を深め、生きる力を身に着けよう、という試みです。第三回目となる今回のサマースクールは、震災後初めての開催。同NPOの副理事長で、サマースクールを企画実行する畠山信さんは「震災以降、子どもたちは思いっきり遊んでいない。避難所では大人に気を遣い、仮設住宅で校庭も使えない状況。自然の中で誰にも遠慮せずに遊べる場所を提供したかった」と、震災後の子どもの心のケアの一環として、今回のサマースクールを企画しました。
3泊4日、子どもたちは親元から離れて、田んぼでの泥遊びに、山で虫採り、川で魚取りと自然と存分に触れ合います。薪割りや火おこし、食事の準備も子どもたちがメインで行います。小中学生約80人の応募に対して、抽選に当選した約20人が参加しました。全員が、宮城県気仙沼市や岩手県大船渡市など被災地からの参加です。
(川で魚取り。ご飯もみんなで作った)
はじめは緊張からか、子どもたちもなかなか打ち解けられない様子でしたが、一緒に遊ぶうちにどんどん仲良くなっていきました。泥だらけになり泥だんごを投げ合ったり、川で水をかけあったり、山や川で捕まえた生き物を自慢し合うなど、子どもたちは休む暇なく大地を駆け回っていました。
ただ、ふとした瞬間に何かを思い出して泣きだす子や、「家を流された」「家族や友人を亡くした」ということを会話の中でさりげなく口に出す子もいました。やはり、震災は大なり小なり子どもたちの心に傷を残しているようでした。
サマースクールを終えて、親元に帰った子どもたち。保護者からは「子どもの表情が明るくなった」という声が寄せられました。企画した畠山さんも「自分自身も被災し、開催するまで大変な道のりだったが、子どもたちの楽しむ姿を見ることができて、やって良かったと心から思えた」と笑顔で語りました。
以前のサマーキャンプでは、NPOの拠点がある唐桑町で、地元の方々と一緒にカキの種付けなど養殖体験ができました。カキ養殖を行っている畠山さんは「復興がひと段落したら、もう一度、唐桑でサマースクールを開きたい」と語ります。今年は8月中にもう一度、宮城県登米市でサマーキャンプを開きますが、畠山さんは回数を増やしていきたいと考えています。Civic Forceでは、環境教育のフィールドとなるカキ養殖所の復旧支援と、プログラム作成などでNPO法人森は海の恋人を支援していきます。