2011/11/01
前回の活動報告に引き続き、被災者の心と体の健康維持や仮設住宅入居後の生活再建、災害看護にかかわるスタッフのスキルアップなどの支援を行う「災害看護支援機構」との協働事業についてお伝えいたします。
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岩手県と宮城県にある3ヶ所の避難所で支援活動を続けてきた災害看護支援機構。各避難所では、地域の人々や全国から集まるボランティアの協力を得ながら、暮らしに基盤を置いたケアを通じて、被災者との信頼関係を徐々に深めていきました。
岩手県陸前高田市の避難所「ホロタイの郷 炭の家」では、5月から約2ヶ月間、支援活動を実施。炭の家はもともと、農村の恵まれた地域資源を生かして、「シイタケづくり」や「豆腐づくり」などの農村体験ができる施設でしたが、震災後は、介護の必要な高齢者や障害者を受け入れてケアする“福祉避難所”となりました。そのため、医療環境が整っておらず、当初は試行錯誤の連続だったと言います。また、山の中にあるため、食料などの調達にも手間がかかりました。しかし、地元の医療関係者や福井県のNPOなど支援者同士で工夫しながらシステムを構築し、認知症や身体障害といった精神面で不安定になりやすい被災者との対話を大切にした支援を心がけました。さらに、福井大学や地元婦人会など市内外のさまざまな団体と連携し、健康チェックや健康相談、炊出し、金魚すくい、綿菓子などを盛り込んだイベントを開催。約800人が参加し、地域の人々が集う場を提供しました。
また、多い時で約300人が生活していた宮城県気仙沼市の面瀬中学校避難所では、被災者の健康管理や良好な生活空間の創出などに尽力。自治会をつくり、当番制で被災者の方々とともに室内の清掃、食事などを行ったことで、「役割をつくってもらえて元気が出た」と話す被災者もいました。
他方、33人の障がい者が暮らす岩手県の社会福祉法人親和会ハマナス学園では、6月~9月の約3ヶ月の間に、90人を派遣し、津波で流されてしまった入所者のカルテづくりや内服薬一覧表の作成などを支援しました。同時に、現場で活動するスタッフを対象に「心のケア」や「感染予防」などをテーマにした講義形式の研修会を実施するなど、震災前から災害時における障がい者など要援護者への目の向け方についてを重点テーマとしてきた災害看護支援機構は災害時の看護に携わる者に必要とされる技術的、精神的両面における人材育成プログラムを実践しました。
このように、活動の柱として、人材育成にも力を入れてきた災害看護支援機構は、中核スタッフが阪神・淡路大震災での経験を踏まえた災害看護や復興へのサポートのあり方に関する議論を重ねつつ、支援活動とともに講演会や研修会、スタッフミーティングなどの機会を積極的に持ち、さらなる技術や知識向上にも努めました。
被災者が仮設住宅へ移り避難所が閉鎖される中、災害看護支援機構とCivic Forceの「パートナー協働事業」も9月で終了となりました。災害看護支援機構では、引き続き、一刻も早く、一人でも多くの被災者支援を実施できるような体制構築に力を入れると話しています。Civic Forceでは今後も災害看護支援機構のようなプロにしかできない専門的な経験と知見を持つ団体との連携を通じて、緊急対応に備えていきます。
(被災者の方が使いやすいよう並べられた医薬品)
(“災害看護”の仕事は、医療を施すだけでなく生活面のサポートも必要)