2011/11/04
Civic Forceは、9月からグローバル・コンパクト・ジャパンネットワークが実施する「GC-JN東日本大震災復興コレクティブアクション」との連携により、宮城県気仙沼大島で「社員ボランティア派遣プログラム」を展開しています。9月、10月の約2ヶ月間で、計6回、全7社138人の社員ボランティアが参加し、瓦礫撤去や写真洗浄などを行った同プログラムについて、報告します。
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東京駅からバスで約8時間、「社員ボランティア派遣プログラム」の活動現場である宮城県の気仙沼大島は、気仙沼港からフェリーで20分ほどの距離にある東北最大の有人離島。環境省選定の「快水浴場百選」で全国2位に選ばれた「小田の浜」があり、かつては牡蠣やホタテなどの養殖が盛んでした。
そんな「漁業と観光」の島として知られた大島ですが、今回の東日本大震災では、津波が湾内に流れ込んで島を分断するとともに、気仙沼湾で起きた火事が引き潮によって島内に押し寄せました。中学生を含む島の若者が総出で防火帯をつくって消火活動にあたり、何とか火が島全体を覆う危機を回避したと言いますが、その被害はあまりに甚大で、漁業と観光の島を取り戻すためには、途方もない時間がかかります。特に、いたるところに山積する大量の瓦礫は、復興を妨げる大きな障害となっていました。
そこで、5泊6日の日程で1回につき10~40人ほどが参加する「社員ボランティア派遣プログラム」では、大人数を生かした活動として、島内の各地で瓦礫撤去や海岸の清掃を行ってきました。作業は主に島の災害対策本部や、島の有志が集まってできた地元ボランティアグループ「大島復興チーム(おばか隊)」などと連携し、島民から寄せられるさまざまな要請に応じます。畑や海岸沿い、家屋の周辺、ぬかるんだ田んぼなどに赴き、破壊された建造物の破片や家具、小物、衣類などを片付ける作業は、ときには危険を伴うこともあり、チームワークや一人ひとりの臨機応変さが求められます。企業ボランティアの方は、ものを運ぶ際には効率的な方法を自ら考え、列を作ってバケツリレー方式での作業を始めたり、数人がかりでも動かせないような巨木を大人数で運ぶなど、一つ一つの作業に対して効率的に取り組む姿が印象的でした。
同プログラムには、国連グローバルコンパクト・ジャパンネットワークの加盟企業を中心に、これまで富士ゼロックス、JSR、横浜ゴム、朝日新聞社、花王、坂口電熱、タクマの社員が参加していますが、雨の日には活動を中止することなく、“写真洗浄”の活動を取り入れています。具体的にはまず、瓦礫の中から見つかり公民館で公開されていた写真やネガの劣化を防ぐため、泥などを落として洗浄し、乾燥させます。その写真をポケットアルバムなどに入れて整理し、取りにきた人が見つけやすいよう、アルバムの特徴を書いたデータカードを作成して貼付し、特徴的な写真を表紙に貼ります。復元された数千枚にのぼる写真は、気仙沼市大島公民館に公開保管され、今も持ち主との対面を待っています。
震災後、4月に初めて大島に入り、現在、大島を拠点にこのプログラムの調整役を務めるCivic Forceの現場担当者は、「企業ボランティアの方は、単純な瓦礫撤去にしても、常に協力し合い効率的に作業することを心がけている。目の前の課題に対して解決策を見出す企業の方々の姿勢に感心している」と話しています。大島の島民と企業の社員とを結ぶつなぎ役として、これからも日本の企業が持つ力を引き出すようなプログラムづくりに尽力していきます。
(海岸近くの田んぼにたまった砂を取り除く作業)
(大島中学校の生徒と、天然記念物に指定された「十八鳴浜(くぐなりはま)」を清掃)
(瓦礫の中から見つかったアルバムを解体して写真を取り出す)
(写真洗浄は、「予備洗い」「洗浄」「すすぎ」と数回にわたる地道な作業)
(水切りした写真を陰干し)
企業ボランティア関連の動画はこちら→http://www.youtube.com/civicforceorg#p/u/5/jQW9oCUZiqs
(次回につづく)