2013/02/28
東日本大震災発生後、変わる被災地のニーズにより広く対応するため、2011年4月から続けてきたCivic ForceのNPOパートナー協働事業。第4期では、中長期的な視点で地域の復興に貢献する被災地発の取り組みをサポートしています。今回は、福島からの避難者を受け入れ、相談窓口の設置やお茶会、バザーなどを展開している「生活クラブやまがた生活協同組合」の取り組みについてお伝えします。
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5万7,377人――この数字は、福島第一原子力発電所事故の影響で、福島県から県外に避難している人の数を表します(復興庁、2013年1月時点)。避難先は、山形が最も多く、次いで東京、新潟、宮城に集中しているほか、茨城、埼玉、栃木、千葉などの関東をはじめ全国に避難しています。各市町村では、福島県や国の要請を受けて、民間借り上げ住宅の整備や就職支援など、長期の避難が必要な世帯へのサポートを続けていますが、依然、避難者が抱える問題は深刻です。
全国で最も多い9,611人の避難者を受け入れている山形県では、夫だけが福島に残って仕事を続け妻や子どもたちは山形に避難し家族がばらばらに暮らすなど、両県での二重生活を強いられている人たちがいます。また、職を失った世帯を含め、経済的・精神的に限界にきている家族も少なくありません。こうした事態は、今後長期化することが予想され、国や行政だけでなく、地域や民間からの柔軟なサポートが必要とされています。
そこで、Civic Forceは、NPOパートナー協働事業の一環で、福島からの避難者受け入れ事業を展開している「生活クラブやまがた生活協同組合」を中心とした地元NPOへのサポートを実施しています。2012年に設立50周年を迎えた生活クラブやまがたは、山形県米沢市に本部があり、組合員9,173人を有する生活協同組合。共同購入事業と高齢者福祉事業を柱に、食の自給率を高める運動、環境を守る運動、認知症対応型グループホームの運営などを山形県全土で行っています。東日本大震災に当たっては、発災直後に「ボランティア山形」を組織し、Civic Forceを含む災害支援団体や関連NPOと連携しながら、避難所での物資支援などを行いました。また、被災地へのボランティア派遣や、政府関係機関への政策支援、被災地調査事業などにも取り組んできました。
震災から約2年が経った現在、生活クラブやまがたが拠点とする米沢市には、3,000人余りが避難滞在していますが、福島第一原発の4号機が予断を許さない状況の中、「福島に戻り元の生活を営めるのか」「このまま山形で生きることを選択すべきか」と、答えの出ない問いを続け、悩む人が多くいます。米沢市内では、元の地域単位での入居ではないため、「コミュニティ」が失われているという問題もあります。さらに頼れる人が近くにおらず、長期化する避難生活のストレスなどから子どもに強くあたってしまうなどの課題が深刻化していると言います。
こうした中、NPOパートナー協働事業では、国や行政の支援対象になりにくい、主に福島県からの自主避難者に対して支援を実施。具体的には、住民から継続を求められている「お茶のみ会」、経済的負担の軽減や地元住民の交流を図る「10円バザー」、個々の悩みを聞く「相談窓口」の開設、災害から2年を迎える節目でのイベント開催などを予定しているほか、避難者の現状や課題を抽出し支援の在り方を行政に提案するプログラムも展開しています。
次回は、山形で避難生活を送る方々の実情と、彼らを支える生活クラブやまがたの奮闘についてお伝えします。