2013/08/26
Civic Forceは、2013年3月から東日本大震災で被災した学生たちを奨学金と教育プログラムを通じて支援する「夢を応援プロジェクト」を実施しています。その一環で、7月と8月の夏休み期間に、東北でともに活動してきた地元NPOと協力して、奨学生向けの実践型教育プログラムを展開中。今回は、8月21日~23日、宮城県気仙沼市で実施された「海の男に学ぶプログラム」(実施団体:森は海の恋人)の様子についてご報告します。
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宮城県の最北にあるJR気仙沼駅から車で約20分。気仙沼市の最北東端に位置する唐桑(からくわ)半島は、リアス式海岸特有の美しい景観と良質な海産物の資源に恵まれた美しい半島です。ここで、8月21日~23日、Civic Forceの中長期復興支援「夢を応援プロジェクト」でサポートしている奨学生3人が、2泊3日のキャンプ生活を体験しました。
奨学生たちを受け入れてくれたのは、「自然の“環”から、人の“和”を育てよう!」をキャッチフレーズに、環境教育・森づくり・自然環境保全の3分野で活動するNPO法人森は海の恋人。プログラムでは、京都大学の学生・大学院生と合流し、海や汽水域で暮らす生物を採取・観察したり、海と森とのつながりについて知る濃密な時間を過ごしました。
初日は、水着に着替えてボートに乗り、イカダが並ぶ海へと繰り出しました。丸太を組んでつくられたイカダには、海底に向けて数メートルのロープが吊るされ、ホタテの貝殻が等間隔にくくりつけられています。「牡蠣は、ホタテの殻に牡蠣の卵を付着させて育てるが、海水をいっぱい吸って成長するので、海中にいるプランクトンも栄養分になる」と説明するのは、森は海の恋人副理事長の畠山信(まこと)さん。海や海中で育つ生き物に親しむため、この日は網を使って海底の動植物を採取したり、海で泳ぐなど、リラックスした雰囲気のなかで思い思いに体を動かしました。
夕食後に約1時間をかけて採取したカニは、翌日の朝ごはんの味噌汁になりました。
翌日は、森は海の恋人が全国の研究者とともに続けてきた「気仙沼舞根(もうね)湾調査」の一端を担う形で、汽水域にいる生物たちを採取。荒い目から細かい目まで4層の「ふるい」を使って、石や土をサイズごとに分類し、ピンセットや手づかみで生き物を探します。奨学生たちは「ちっちゃいなー」「こんなとこにもいるんだ」と、夢中になって観察しました。採取した生物は、チームごとに記録し、貴重なデータの一つとして生かされることになります。
また、プログラムの最終日には、森は海の恋人理事長で漁師の畠山重篤さんと一緒に、海ではなく、山へ向かいました。「豊かな海の背後には、必ず豊かな森と川がある。汽水域は川とその上流の森に支えられている」と話す重篤さんは、25年前から気仙沼湾に注ぐ故郷の川、大川の源流に広葉樹を植える活動を続けています。
気仙沼の海から大川の下流・上流へ、そして室根山の頂上まで、車で移動しながら、重篤さんは、森と海、それを結ぶ川、河口の汽水域に生きる牡蠣とのつながりや、漁師が森に木を植え始めた理由、ダム建設に反対した頃の苦労、植樹活動を今も続けているワケなどを一つ一つ語りかけるように伝えていました。
3日間を通して奨学生たちは何を感じ、何を学んだのでしょうか。続きはこちら