2013/08/26
前回に続き、Civic Force中長期復興支援「夢を応援プロジェクト」の一環で実施した実践型教育プログラム「海の男に学ぶプログラム」の様子についてご報告します。
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「みてみて!釣れたよー」――透き通った水辺に足を突っ込みながら、学生たちの元気な声が、青々とした空の下に響いています。写真は、小さな貝でカニを釣る宮城県気仙沼高校3年生の小山理央さん。
2泊3日の「海の男に学ぶプログラム」のフィールドの一つは、キャンプ場から徒歩3分のところにある「汽水域」。汽水域とは、淡水と海水が混在した干潟のことで、森は海の恋人副理事長の畠山信さんによれば、「3月11日の地震と津波によって海の環境は激変したが、しばらくすると、ここに震災前よりたくさんの生き物たちが発見されるようになった。このことは、被災した人たちを勇気づけ、もう一度復興に向けて一緒にがんばろうと地域がまとまりことにつながった」と言います。
今夏、さらに多くの生物が現れるようになった干潟や湿地は、環境教育の恰好の舞台でもあります。森は海の恋人では、全国から小中学生を招いて牡蠣養殖を体験してもらったり、毎年実施している植樹祭には全国から1000人以上の人が訪れます。「自分一人ではよい牡蠣は育たない。ここ舞根湾(もうねわん)だけでなく、川の流れる流域、森の広がる山域、全ての人たちの気持ちが、牡蠣には凝縮される。広い視野で物事を見られるようになってください」と話す理事長の畠山重篤さん。海や水辺の生き物に触れるだけでなく、豊かな海を支える森とのつながりを伝えるプログラムは、未来を担う奨学生たちの心にも届いたようです。
忘れがちだった海の魅力と人の優しさ
―梶原風有子さん(東京スクールオブミュージック専門学校1年、宮城県出身)
宮城県の南三陸町出身で、今は東京の専門学校に通っています。東京に来る前は、海の近くに住んでいたのですが、海のことをあまり知らないことに気づき、もっと海への理解を深めたいと思って、このプログラムに参加しました。3日間を通して、東京にいて忘れがちだった豊かな海や自然の素晴らしさ、地元の人たちの優しさを思い出しました。将来はイベントプランナーとして、人を楽しませる仕事がしたいので、森は海の恋人の楽しくてためになるプログラムは、とても勉強になりました。
広い視野を持って学びたい
―小山理央さん(気仙沼高校3年、宮城県出身)
高校の教科書に載っていた森は海の恋人運動の活動のことは、以前から関心を持っていましたが、今回学校の先生に進められた縁で参加しました。実はプログラム期間中に高校の新学期が始まってしまっていますが、公欠扱いの許可を得て、ここに来ることができ、森と海のつながりがよく分かりました。将来は大学の農学部に進学し、農業を学びたいと思っています。畠山重篤さんも言っていたように、広い視野を持って農業を学べる大学生になりたいです。
海と森のつながり、伝えたい
―菅原宗一郎さん(仙台高等専門高校4年、宮城県出身)
森と海、そして人とのつながりをテーマに、楽しみながら学べるプログラムに参加でき、とても勉強になりました。もともと海の近くに住んでいて、海には慣れ親しんでいましたが、夜の穴子釣りは初めての経験で、印象に残っています。京都大学の学生が一緒だったことでにぎやかな雰囲気のなかで過ごすことができ、同世代の学生と話して刺激になりました。機会があればまた参加して、森と海のつながりを伝えていけたらと思います。