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活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2011/05/17

5月16日(月)国内難民とは何か?―協働パートナー紹介

Civic Forceは4月から、NPOなど7団体と「パートナー協働事業」を展開しています。同事業は特定地域にとらわれず、専門性のあるNPOと連携して生活再建支援を行う枠組みです。5/13から5/16にかけて、Civic Forceのスタッフと、外部シンクタンクの学識者とともに、いくつかの団体の現地モニタリング調査を行いました。

今回は、Civic Forceの協働パートナーとして、岩手県陸前高田市、大槌町、大船渡市、および宮城県気仙沼市で支援活動を展開する「特定非営利活動法人 難民支援協会(東京都新宿区)」をご紹介します。

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「難民」とは宗教や国籍、人種、政治的意見などの理由で、自国にいると迫害を受けるおそれがあり、自分の命を守るためにやむを得ず外国へ避難せざるを得なかった人々を指します。何の罪もないのに家を失い、家族を失い、あるいは逮捕され、拷問を受けている人々が世界にはたくさんいます。それらの仕打ちから逃げるため、他の国に保護を求めている難民は、世界で約1520万人(2009年時点)存在しています。

なぜ、日本に難民がいるのか。

さかのぼれば、第二次世界大戦後の1948年。国際連合総会で採択された「世界人権宣言」で、すべての人間は差別されずに基本的人権を享受できる旨、また他国にて庇護を求める権利などが確認されました。同宣言をベースに、難民の人権保障と難民問題解決のための国際協力を効果的にするため採択された国際条約が「難民の地位に関する条約」(以下、難民条約)です。

日本は1981年に難民条約に加入し、難民として逃れてきた人を保護するという国際的な責任を負っています。難民として認定されると、難民は認定証明書を受け取り、日本に定住することが許されます。国民健康保険の加入や各行政による公的支援を受けることも可能です。

難民認定申請は、主に東京・横浜・大阪・名古屋や空港内にある入国管理局で、所定の申請書に記入することで申請ができます。申請を受けて、法務省入国管理局の難民調査官が調査やインタビューを行います。

ただ、命からがら避難してきた難民の多くは日本語ができません。彼らにとって、同制度の存在を知ること、制度の概要を理解すること、そして何より日本語で資料を求められたりすることに応えることは容易ではありません。無事申請することができても、難民として認定されるまでには早くて半年、長くて5年以上と大変時間がかかります。その間の生活では社会保障が非常に限定され、就労が許可されないことなど、不便も多いのです。

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(陸前高田市内で泥撤去作業をする難民と日本人のボランティア)

そんな立場の外国人たちが日本に多数いるということはあまり知られていません。難民支援協会では、苦労して日本にたどりついた難民に対して、法的支援と生活支援を行っています。

法的支援としては、難民申請手続きがスムーズになされるように、弁護士と連携して情報提供や書面の作成の支援をしています。申請書類の作成アドバイスや手続きの説明のほか、入国管理局の収容施設で被収容者との面会にも対応します。

生活支援では、難民申請の結果を待っている間や訴訟中の難民に対し、生活支援金の支給や医療機関への同行、診察の通訳、安価な宿泊施設の紹介、日本語学習グループの紹介やあっせんなど、生活面でのあらゆる相談・支援を行います。日本に定住する難民が日本で生活するうえで必要な知識、スキルを身につけることができるよう、日本語教室のほか、ビジネスマナー講座などを開催し、彼らのスキルアップを支援しています。

日本が難民条約に加入した1982年から2010年末までに、日本に対して難民認定申請をした人の総数は累計9887人(法務省入国管理局発表による)。申請者数は1996年から毎年100人を越え、2006年から急増、2008年以降は毎年1000人以上の人が難民認定申請をしています。

平成22年に難民認定申請を行った1202人のうち、難民として認定されたのは39人のみ。申請者の国籍は、ミャンマーやスリランカ、トルコ、ネパールなど51か国にわたります。制度が始まって以来、これまでに日本で難民と認められた577人。また難民には認定されませんが、人道的配慮から在留することが認められた難民は累計で1746人となっています。

複雑な事情で祖国を追われた難民たち。社会的に、国際的に弱い立場であった難民たちの生活をサポートしてきた難民支援協会。東日本大震災では、Civic Forceと難民支援協会とが被災地支援で問題意識を共有した結果、協働事業に取り組むことになりました。明日は、具体的な活動内容をご報告します。