2011/05/18
日本に住む、ないしは住むことを希望する難民たちを支援する 難民支援協会(東京都新宿区)。祖国から命からがら避難してきた彼らにとって、彼らを受け入れ、保護してきた日本は、第二の故郷となっています。
甚大で広範な被害を生んだ東日本大震災。その被害は、日本国内にいた難民の方々も心を痛めました。「第二の故郷である日本に恩返しをしたい」。不安定な身分でありながら、テレビの前で繰り返される映像を見て、「何かできることはないか」「ボランティアに行きたい」という申し出が支援協会に集まりました。支援協会ではボランティアを志願した数名の難民と日本人ボランティアを組織し、岩手県陸前高田市など沿岸部へ派遣。花巻市内のキャンプ場を拠点に、泥撤去作業のほか、難民の出身国料理を炊き出しで提供するなど多文化理解のきっかけをちりばめた独自のボランティア活動を展開しています。
また、さまざまな人種、国籍の難民を支援してきた支援協会は、英語からフランス語、アラビア語やフィリピン語など、多言語での情報提供を得意としています。今回は、東北や北関東で生活する難民や外国人に対して、多言語で生活情報を発信。震災に伴う社会混乱の状況で生活に不安を抱いている外国人には、ソーシャルワーカーや法律の専門家が対応します。
加えて、難民という社会的弱者をサポートする立場だからこそ、持てる視点があります。
(支援にあたる保健支援チームに女性キットを紹介する難民支援協会のスタッフ)
難民支援協会は2005年に起きたパキスタン地震の時に、女性の立場に立った支援を探る講習会を行いました。これまでに、海外の災害地域や難民キャンプなどで、女性に焦点をあてた支援を数多く展開してきました。避難所の生活環境や支援物資の内容などは避難が長引くにつれて、女性への配慮が十分とは言えない状況が明るみになると考えます。
難民支援協会では、助産師を派遣するとともに女性キットを作成、配布しています。尿漏れパッド、生理用品や生理用ショーツなどおおっぴらにしたくない物資のほか、リップクリームやハンドクリーム、鏡など、女性にとって小さいけれどもあったら便利なものをまとめたきキットを3世代分作りました。女性キット(花巻の方言で「なっても袋」(「何でも」の意)を渡すことでできたつながりをきっかけに、女性特有の悩みを引き出したいと考えます。日本助産師会岩手県支部とも協力して、保健師や民生委員と一緒に、各家庭に女性キットを配る方針で準備を進めています。
老若男女ありとあらゆる人が一堂に会する避難所で、時間の経過とともにデリケートな悩みが表面化しつつあります。難民支援協会には、その糸のもつれを解きほどく役目が期待されます。
(陸前高田市内の避難所で配った女性キットは大好評でした)