2012/04/16
東日本大震災発生後、復旧・復興に動く現地関係者の可動式居住空間として、2011年6月から開始したCivic Forceの「多目的・稼働型拠点提供事業」。被災後、疲労が蓄積しつつあった被災地の自治体職員など支援関係者のプライベートスペースとして、また仮設住宅や公民館、スポーツ施設の更衣室に代わる空間として、トレーラーハウスやコンテナハウスを提供してきました。
貸与から半年以上が経ち、被災地の状況が変わりつつある中、トレーラー/コンテナハウスの利用方法も各ニーズに対応すべく変化しています。今回は、トレーラーハウスの利用に関する現状をご報告します。
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市民の足、支えるバス会社
気仙沼市内にあった家と会社が被災し、残されたのは乗用車だけ。希望した仮設住宅には入れなくて、車の中で冬を越した――気仙沼の民間バス会社「宮北バス」の白幡岩夫社長は、震災から今日までの生活について、「まぁ大変だったけど、生きてっからね」と、大きな声で笑いながら話してくれました。
震災当日、市内にいた白幡さんは海から押し寄せる大きな津波を見て、必死に高台へ避難。なんとか命は助かったものの家や会社など大切にしてきたものを一瞬にして失いました。甚大な被害を受けたにもかかわらず、翌4月にはローンを組んで7台のバスを新規購入。生き残ったスタッフとともに、宮北バスの営業を再開しました。宮北バスは震災前、市内での運行のほか全国ツアーなど長距離バスも取り扱い、震災後は、長距離バスをいち早く再開するとともに、仮設住宅と学校を結ぶスクールバスを運行しています。
そんな白幡さんの現在の居住空間となっているのが、2012年3月からCivic Forceが貸与しているトレーラーハウスです。白幡さんは「やっと少し落ち着ける空間を手に入れられた。生活よりも事業の再開を優先させたくて、ローンで首がまわらくなってしまったが、またがむしゃらに働きますよ」と言います。事務所のすぐ隣に置かれたトレーラーハウスは、スタッフの休憩スペースなどとしても活用されています。
(宮北バスの社長であり、運転手としても活躍する白幡さん)
(宮北バスの事務所の隣に置かれたトレーラーハウス)
効率的な業務のために
気仙沼の船着場「エースポート」の目の前にある駐車場の一角にある1台のトレーラーハウス。地元NPO「地域再生プロジェクト」の事務局として活用されています。地域再生プロジェクトは、Civic ForceのNPOパートナー協働事業(http://www.civic-force.org/emergency/higashinihon/npo/)のパートナー団体として、2011年5月から、車を失った被災者に車両を貸し出すカーシェアリング事業を実施。現在15台の車両を気仙沼市民に貸し出しています。
カーシェアリングの事務局業務は、利用者の受付や車両運用管理、入会説明、カードの発行など多岐にわたりますが、事務局の担当者によれば、トレーラーハウスが導入される前は、車や仮設住宅の中で作業せざるを得なかったと言います。他方、導入後は「暖かい空間で作業しやすくなった」と話しています。より効率的に業務ができるようになったこともあってか、地域再生プロジェクトが貸し出す車両の利用は、口コミなどを通じて徐々に増えています。
(気仙沼エースポートに置かれたトレーラーハウス)
(事務局として利用することで効率的な業務につながっています)
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